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財産的損害と精神的損害

死傷が発生している人身事故においては、様々な損害賠償が発生し、加害者は過失割合に応じて支払う義務を負います。しかし、無制限に損害賠償を認めるわけにもいきませんので、認められる損害賠償には限りがあります。

人身事故の損害は財産的損害と精神的損害に分けることができ、財産的損害はさらに積極損害と消極損害に分けられます。

・財産的損害(積極損害)

・財産的損害(消極損害)

・精神的損害

■人身事故の積極損害

積極損害とは、人身事故によって出費が避けられない費用の事で、次のような損害の全てが対象です。積極損害は原則として実費で支払われる損害で、証明書類としては領収書が該当します。また、社会通念上において適切と認められる範囲までが賠償額です。

・治療費や手術費

・入通院費、付添看護費、交通費、雑費

・装具費、器具費

・遺体の搬送費

・葬儀費(火葬費などを含む)

・仏壇、墓石などの購入費

・弁護士費用

・証明書等の文書料

・遅延損害金

・その他相当とされる実費

これらの各項目は、死傷の程度によって計上されず、例えば遺体の搬送費や葬儀費が必要になるのは死亡時だけです。傷害においても、既に発生した費用だけではなく、将来において出費が不可欠と認められる費用(後遺障害がある場合の介護費など)も支払われる場合があります。

■人身事故の消極損害

被害者が事故に遭っていなければ、受け取っていたはずの利益の事を消極損害と呼びます。消極損害は休業損害と逸失利益に分かれ、休業損害も失われた利益なので、逸失利益として考えることはできますが、一般的には休業損害と逸失利益を区別して考えます。

休業損害:治療に要した期間で失われた利益

逸失利益:将来に渡って失われた利益

このように考えると、休業損害は完治もしくは一定の回復(もしくは死亡)までの過去の損害、逸失利益は将来の損害と区別できますし、休業損害は傷害時全般、逸失利益は就労に支障がある後遺障害時や、就労できない死亡時における損害とも言えます。

死傷の程度 請求できる消極損害
完治する傷害 休業損害
後遺障害 症状固定までの休業損害、障害の程度に応じた逸失利益
死亡 死亡までの休業損害、逸失利益

 

消極障害は、被害者が実費負担していませんから、別途算出して求めなくてはなりません。就労者であれば、事故時の収入から相当する金額を計算できますが、働いていない未成年や家事従事者は、一定の基準によって計算されます。

また、逸失利益の考え方は、事故当時または前年度の被害者の収入を算出基礎としますが、それだけで単純に求められるものではない事に注意が必要です。

なぜなら、収入から被害者もしくはその家族が費消する分を差し引かなければ、被害者が得るはずの利益になりませんし、将来に受け取るはずの利益を、損害賠償によって先に受け取るという利益(中間利息控除)も考慮しなくてはならないからです。

■人身事故の精神的損害

精神的損害とは即ち慰謝料のことで、単なる傷害よりも、後遺障害や死亡の方が慰謝料は高額になります。被害者感情を考えれば当然ですが、やはり無制限に認められることはありません。また、慰謝料は事情を考慮するのが通例で、例えば著しく加害者に過失がある(飲酒運転やひき逃げなど)場合は増額されます。

自賠責保険では、傷害、後遺障害、死亡に分けてそれぞれ慰謝料は決まっています。任意保険においては保険会社の基準、弁護士会が使う裁判基準での慰謝料もあります。

ここで、賠償金額を補償する保険会社の立場で考えると、保険会社は支払いを抑えたいため、低い金額を提示することは十分にあり得ます。ですから、弁護士会の基準で示談するために、被害者は弁護士に依頼するのも1つの手なのかもしれません。

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