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車速と停止距離の関係

交通事故では、事故の損害が当事者の命運を分け、速度が大きいほど損害が大きくなるのは疑いようもありません。物理学的には速度が大きいほど運動エネルギーも大きく、衝突時の衝撃が大きくなって損害が拡大します。

死角から車両が突っ込んできた場合を除き、危険を察知した時点でブレーキを踏みますが、速度が大きすぎてブレーキが間に合わないと、衝突事故が起きてしまいます。では、どのくらいの速度なら、衝突を回避できたのでしょうか?

その答えは、状況によって全く違いますし、危険を察知してからブレーキを踏むまでの反応速度も個人差があるので一概には言えません。しかし、速度と停止距離には関連があり、車が止まるまでの距離は次のように定義できます。

・空走距離:危険を察知してからブレーキを踏むまでに走る距離

・制動距離:ブレーキが踏まれてから止まるまでの距離

・停止距離:空走距離+制動距離

もちろん、速度が大きいければ大きいほど、空走距離も制動距離も延びていきます。そして、路面の状況、タイヤの摩耗状態、ブレーキの機構的な性能なども関係してくるため、簡単な数式で出せるものではありません。

■空走距離は速度と反応時間に比例

空走距離は、減速なく(エンジンブレーキや摩擦による減速を除く)進んでしまう距離であるため、危険察知時の速度に比例し、危険察知からブレーキを踏むまでの反応時間にも比例します。一般に反応時間は次のように考えられます。

1.ブレーキが必要と判断してアクセルペダルから足を離す

2.アクセルペダルからブレーキペダルへ足を移動する

3.ブレーキペダルを踏み始めてからブレーキが効きだす

1は危険の発見が遅れた場合、発見はしているが危険な状況としての判断が遅れた場合にロスがあります。そのため、空走距離を考えるときにこれらの要因は含めないとし、運転者が危険と判断した時点から考えると、若干の遅れも考慮して0.5秒程度は必要だと考えられます。

2の時点では、思考ではなく反射的に行っている動作であるため(踏み間違える以外は)ロスがなく、運動能力や反射能力に影響を受けます。運動機能に障害がなければ0.2~0.3秒程度と考えられます。

続いて3の場合でも、一連の流れの中で行われるため、2と同様に0.2~0.3秒程度とすると、合計して1秒程度は反応時間が必要です。実際には、危険を予測していた場合、平常時である場合、注意力が散漫な場合など、状況で反応速度は変わってしまいますが、ここでは1秒として仮定します。

反応時間を1秒として、速度と反応時間により空走距離を求めると、次のようになります。

20km/h 40km/h 60km/h 80km/h 100km/h
6m 11m 17m 22m 28m

※時速÷3,600秒の値を四捨五入

■制動距離は速度の2乗に比例

制動距離の考え方は2つあり、1つはブレーキを踏んでタイヤがロックし、タイヤと路面の摩擦力で停止するときの考え方、もう1つはタイヤをロックさせないギリギリの状態で、ブレーキローターとブレーキパッドの摩擦力で停止するときの考え方です。

タイヤをロックする過程においてはブレーキの摩擦力が、ブレーキの摩擦力で停止するときにも、タイヤの摩擦力は発生します。しかし、全体としては小さいとして無視すると、タイヤの摩擦力では路面との抵抗に影響を受け、ブレーキの摩擦力も劣化現象に影響を受けます。

どのような場合でも、ブレーキの開始から車両の停止まで摩擦力が変わらないとすると、制動距離は運動エネルギーの関係で、速度の2乗に比例します。重さにも比例するように思えますが、確かに同じ制動力で違う重さ(積載物の重さが違う)なら、重さに比例することは間違いありません。

しかし、自動車の構造は、車重に応じた制動力で設計されており、車重が重い大型車はブレーキやタイヤを大きくしたり、タイヤの本数を増やしたりと、制動距離が延び過ぎないように工夫されています。重さに比例するなら、例えば1tの車と10tの車が40kmで走っていて、制動距離が10倍違っては実用にならないでしょう。

参考までに制動距離の1つのデータとして次のような数値があります。

20km/h 40km/h 60km/h 80km/h 100km/h
3m 11m 27m 54m 84m

 

■停止時間は空走距離と制動距離の和

参考データですが、空走距離と制動距離を加えると、停止距離は次のようになります。実際には、空走距離の反応速度や制動距離の考え方によって、全く異なる点には注意してください。

20km/h 40km/h 60km/h 80km/h 100km/h
空走距離 6m 11m 17m 22m 28m
制動距離 3m 11m 27m 54m 84m
停止距離 9m 22m 44m 76m 112m

 

■危険察知は視野にも影響する

空走距離は、危険察知からブレーキを踏むまでの時間なので、危険察知までの時間が考慮されていません。しかし、実際の交通事故においては、いかに早く危険を察知するかが、全体としての停止距離を短くするために大きなポイントになります。

運転中に体で感じる情報は、ほとんどが視覚を頼りにしますし、首を大きく動かして前が見えない状態は危険なため、基本的に真っすぐ前を見て運転します。このとき、視点が動かなければ、一般にはっきりと見えている範囲は5度程度しかなく、視点の中心から少し離れただけで、ぼんやりとした風景になっていることに気付くでしょう。

それでも、動いていなければ200度程度までは視野があるとされています。ところが、車に乗っているときの視野は、速度が上がるほど狭くなっていきます。

視野角は40km/hで100度程度、70km/hになると65度程度、100km/hになると40度程度、130km/hにもなると30度程度まで狭くなります。つまり、スピードを上げれば上げるほど、危険を察知する能力は失われ、事故を起こす確率が高くなっていきます。

40km/hなら見えていた歩行者が、100km/hでは見えなくなるとしたらどうでしょうか。発見が遅れる危険だけではなく、スピードが速いので停止距離も長くなり、ますます危険が大きくなります。スピードの出し過ぎが、どれほど危険な状態を生み出しているのか、良く考えて運転を心掛けるべきでしょう。

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