対物超過修理費用特約
対物超過修理費用特約は、対物賠償責任保険の対象の中でも、相手の車両への損害に対する特約です。この特約は、損害を受けた相手の車両の修理費用が、相手の車両の時価額を超えてしまった場合でも、差額の一定額を限度として補償するためにあります。
一般に、車両の価値は新車時が最も高く、経年によって徐々に低下します。その一方で、修理費用というのは、部品交換なら新品で行いますし、板金や塗装といった人的な工賃は、中古車だから安くなるというものではありません。
そのため、車両の損害が同じでも、ある時点を超えると車両の価値よりも修理費用の方が高くなる状況が必ず発生します。保険会社が補償するのは車両の価値までなので、対物超過修理費用特約がないと、差額は事故負担になります。
■対物超過修理費用特約の補償額
対物超過修理費用特約での補償額は、50万円を限度としている保険会社が多く、実はいくらでも補償を受けられる特約ではありません(無制限にしている保険会社もあります)。それでも、あるのと無いのとでは大違いですし、損害を与えた相手が修理を要求しているときには非常に役立ちます。
ただし、相手にも過失がある場合には、自分の過失割合に応じた賠償額を補償するので、車両の価値と修理費用の差額の全てが対象にはなりません。例えば、60万円の価値を持つ車両で、修理費用が100万円掛かる場合、過失割合によって次のようになります。
過失割合(相手:自分) | 自分の賠償責任額 | 対物賠償責任保険での補償額 | 対物超過修理費用特約での補償額 |
0:100% | 100万円 | 60万円 | 40万円 |
20%:80% | 80万円 | 48万円 | 32万円 |
50%:50% | 50万円 | 30万円 | 20万円 |
対物賠償責任保険は、相手の車両の価値60万円に自分の過失割合を乗じた補償額、対物超過修理費用特約は、超過している修理費用40万円に自分の過失割合を乗じた補償額です。
この例では、特約を含めて自分の賠償責任額を支払えていますが、極端に修理費用が大きい場合、限度額の50万円では不足します。その場合は、対物超過修理費用特約の補償額を無制限にしている保険会社を選ぶしかありません。
■対物超過修理費用特約は必要か
既に説明の通り、車両の価値は下落するので、いつかは修理費用の方が大きくなります。最近の車は耐久性が優れていることと、1年車検が廃止されてから、ますます年式の古い車に乗っているドライバーは多くなりました。
修理する方が高い古い車なら、修理しないで買いかえれば良いと思うでしょうか。それは損害を与えた方の都合でしかなく、車を壊された側が納得することは少ないでしょう。示談が容易なら、車両の価値までの補償で済む可能性もありますが、多くの人は修理して元通り乗り続けたいと思うはずです。
良く言われる「愛車」というのは、人によっては同じ型式の車では替えられず、乗っている車だけに思い入れがあるもので、断固として修理を要求してくるケースもあります。また、相手が知り合いなら、価値が無い車だから少ししか払わないといって、人間関係を破綻させることができるかどうかも疑問でしょう。
結局のところ、対物超過修理費用特約は付けておいた方が良い特約なのは間違いなく、保険料が大幅に上がるならともかく、元から差額が発生した場合だけの補償なので、一般には少額の増額で済みます。
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