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後遺障害と症状固定

治療による回復は万能ではなく、どのようにしても事故以前の状態まで回復できないことは往々にして起こります。例えば、手足に重い傷害を受け切断されてしまった、もしくは医師の判断で切断が必要とされた場合、義手や義足では、元通りに機能しないのは容易に想像できるでしょう。

しかしながら、手足を失っても体調としては回復し、後遺障害は別として日常生活ができる程度になれば、それ以上の治療によっても回復が見込まれないことになります。この時点を症状固定と呼び、症状固定時に残っている障害は後遺障害としてみなされます。

■症状固定は医師の判断が必要

治療によって回復が見込めない症状は、被害者自らが判断するのではなく、医師の判断を必要とします。なぜなら、医学的な見地からの判断でなければ、専門的かつ客観的にならないからです。

症状固定は、必ずしもそれ以上悪くならないという意味ではありません。症状が悪化したり回復したりと波があっても、全体として改善に向かわない状態を症状固定とします。加害者にしても被害者にしても、今以上に良くなるのではないかと考えますが、どこまて回復したら症状固定に該当するのか、素人が推察することは困難です。

そこで、医師の判断を尊重し、被害者に症状の改善に見込みが無いことを伝えて同意が得られると、その時点を症状固定時と決めます。症状固定の正確な時点は、医師であってもわかるはずはないですから、患者の心身状況とその後の治療スケジュールなども考慮されます。

■症状固定が賠償の区切り

傷害事故では治療中の損害が補償されますが、症状固定になると、回復のための治療が終わっているので、症状固定時までが治療に対する賠償期間となります。症状固定によって後遺障害が認定されると、それ以降は治療ではなく、後遺障害によって生じた賠償責任の補償へと移ります。

したがって、症状固定時まで補償された治療等の積極損害と、消極損害である休業損害に対する補償は終了し、逸失利益に対する賠償に代わることになります。ただし、後遺障害によって将来も出費が避けられない介護費用等については、積極損害として認められます。

症状固定までの損害賠償と、症状固定以降の損害賠償は、算出方法が異なるため、症状固定をいつにするのかは、加害者にとっても被害者にとっても大きな問題です。ところが、保険会社が保険金支払いの都合で補償打ち切りを宣告し、医師も被害者も止むなく症状固定としている場合もあるので、真の意味での症状固定と一致しているわけではないのが実状です。

 - 交通事故への対応, 後遺障害と損害賠償

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