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後遺障害では労働能力喪失がある

人身事故によって傷害を受けると、被害者は治療によって回復に努め、治療に要する費用や、働けなくなったことによる損害を加害者が補償します。治療によって事故以前と同じ状態まで回復できれば良いのですが、傷害の程度によっては、障害が残ってしまう場合があり、事故以前と同じ生活ができなくなることもあるでしょう。

後遺障害(後遺症)があるとき、それまで行えていた仕事ができなくなる、または仕事の効率が落ちるといった、労働能力の喪失が現れます。後遺障害があるからといって、労働能力喪失は必ずあるとも限りませんが、五感や四肢を使って仕事をする以上、後遺障害が仕事に影響するのは避けられません。

このような労働能力喪失は、将来に渡って発生するため、被害者は事故が無ければ得られたはずの収入の一部を永遠に失うことになり、加害者はその逸失利益に対し賠償責任を負います。そして、被害者が本来持っている労働能力に対し、事故で失われた労働能力の割合を、労働能力喪失率と呼びます。

■労働能力喪失率は後遺障害等級で決まる

後遺障害には、介護なしでは日常生活が送れないほどの重度の症状から、ほとんど生活に支障はなくても回復が見込めない軽度の症状まで様々です。症状による労働能力喪失率は、個別の事例で異なるのが本来ですが、実際には症状別に14等級+2等級で区分けされ、それぞれの等級に応じて、労働能力喪失率も決められています。

各等級における労働能力喪失率の割合は、最小で4%(第13級と第14級)、最大で13%(第4級と第5級)の差があります。つまり、後遺障害等級がどこで認定されるかによって、逸失利益の賠償額も変わってくるのです。

■後遺障害等級による逸失利益の例

例えば、年収500万円の人が事故で後遺障害になり、残り20年の就労可能期間があるとします。このとき、基礎収入は500万円×20年=1億円ですが、中間利息控除によって6,231万円に減額されます。

後遺障害等級が第4級と第5級の労働能力喪失率は、それぞれ92%と79%なので、それぞれの逸失利益を計算すると次の通りです。

第4級=6,231万円×92%=約5,732万円

第5級=6,231万円×79%=約4,922万円

この例では、第4級と第5級で810万円もの差が生じており、後遺障害等級の違いで逸失利益の賠償額が大きく変わることがわかります。もし、第14級で認められた場合と、後遺障害なしと判定された場合でも、第14級の5%が差になるので、約311万円もの差です。

被害者の心情としては少しでも高い後遺障害等級で認められることが、賠償額を多く受け取るためには重要です。しかし、逆の立場である補償する保険会社にしてみれば、少しでも保険金の支払いを抑えたいため、後遺障害を認めざるを得ないとしても、低い等級で認定されたいのが本音です。

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