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保険会社との示談や裁判

自動車保険には示談交渉サービスが付いており、交通事故の加害者は、被害者と直接示談することは少ないばかりか、むしろ保険会社に直接示談をしないように言われます。うっかり示談して支払いを約束すると、保険会社が補償できない場合もあるからです。

一方で、被害者にしてみれば、本来の意味で損害賠償責任がある加害者ではなく、保険会社と示談して、示談できなければ保険会社を相手に裁判しなくてはなりません。交通事故を専門にしている保険会社と、一個人が交渉事をするのは分が悪すぎるでしょう。

■保険会社は血も涙もないと思え

多くの人が感じる「交通事故の被害者は救済されるべき」という感情は、保険会社にとって営利の妨げにしかなりません。保険会社は、どれだけ補償額を少なくするかという、ただ一点のみに全力を注ぎます。

この点は、どれだけクリーンなイメージを持っている保険会社でも同じで、加害者ですら保険会社が親身に対応するのは、事故を起こしておらず保険料を支払っている間だけです。残念ですが、企業というのはそのくらい非情でなくては大きくなっていきません。

しかも、保険会社は被害者に賠償しているのではなく、加害者が負う損害賠償を契約によって補償するだけの立場です。保険会社には、最初から被害者に賠償をする考えもないと思いましょう。

保険会社の目的は補償額を少なくすることで、加害者の賠償金額を少なくすることではありません。加害者が何億の賠償責任を負おうと、保険会社の補償が少なければ、保険会社は加害者のためにも動かないのです。

しかし、賠償金額が大きくなる対人賠償責任保険においては、無制限の補償で契約されているため、結果的に加害者の損害賠償=保険会社の補償額となり、いかにも加害者のために保険会社が動くように誤解されがちです。

誠意のある加害者は、被害者への謝意と自責の念から、十分な保険金を支払いたいと考えますが、保険会社は被害者どころか加害者の味方ですらないので、最低限の支払い以外は拒みます。繰り返しますが、保険会社は誰のためでもなく自社のためにしか動きません。

ここまで言うと、保険会社の対応が良いと感じた多くの人の反感を買いますが、なぜ日本全国でこれほど多く、交通事故の依頼を受ける弁護士が存在するのか考えれば、決して被害者が強欲なのではないとわかるはずです。

■保険会社と示談すると押し切られる

裁判上の基準を正しいとするなら、保険会社との示談で、正しい賠償金額の提示がされることは確実になく、圧倒的に少ない金額での示談をしてきます。そもそも、被害者が適切な賠償金額の基準を知っていることは少ないので、争いを好まない日本人の気質からも、しぶしぶ了承するケースも多く見られます。

まさにそれが保険会社の狙いでもあり、無理な示談を長引かせることで被害者の経済的負担を増加させ、なおかつ裁判に続く経済的負担を連想させて、被害者を「落とす」のは珍しいことではありません。裁判と違って示談は合意があれば不公平でも許されるので、保険会社としては示談を最大限生かして、可能な限り安く済ませたいでしょう。

そう考えれば、保険会社に誠意がなくても腹も立ちませんし、不当に少ない補償額を提示されることも想定内として考えられます。示談の提示内容に納得できなければ、迷わず裁判を考えてみるのも悪くはありません。

■裁判では基準に沿って判断される

相手は保険会社で、交通事故専門の顧問弁護士が付いています。そのため、保険会社と裁判することに、二の足を踏むのも当然です。しかし、裁判というのは、示談と違い判断するのは裁判官で、どれほど弁護士が手慣れていても、判例による基準を覆すのは容易ではないはずです。

被害者側も弁護士に依頼することになるでしょうが、請求に対して根拠と立証が十分であれば、裁判の基準で判決が出されます。むしろ裁判の方が、交通事故の被害者寄りだとも言えます。

裁判基準の賠償金額は、保険会社が提示する示談の金額よりも、時には数千万円も多くなることすらあります。裁判を恐れて示談をしてしまえば、もはや示談以上の請求ができず、弁護士費用も安くはないですが、納得しない示談を受けるよりはまともでしょう。

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