自賠責保険の仮渡金
自動車事故の被害者は、損害を受けた自動車事故の自動車の保有者(運行供用者)ではなく、保有者が加入する自賠責保険の保険会社へ、賠償金を請求することが認められています。しかし、損害の調査も無しに、被害者の言い値で保険金を支払うわけにはいかず、事故や損害の調査をして、損害額を確定させなければなりません。
もちろん、加害者側への請求によって、治療費等の一時的な補償を受けられる場合には、当面の問題はありませんが、加害者側から支払われないとどうなるでしょうか。その場合は、被害者が必要な費用を自己負担し、損害額が確定してから加害者側、もしくは加害者の保険会社への請求になります。
この状態は、少なくとも被害者側の負担となり、被害者救済を目的とする自賠責保険の制度にも合致しません。そのため、被害者には先に一定の金額を請求できる制度があり、これを仮渡金と呼びます。
同じような制度として、治療期間が長引いた場合に利用できる、内払金という制度も過去にありましたが、平成20年に廃止されています。
仮渡金の詳細
仮渡金の金額は、法律に定められており、被害の程度によって変わります。自賠責保険制度が作られてから、仮渡金の金額は上昇しており、平成14年4月1日以降の金額は以下の通りです。
仮渡金の金額
損害の内容 | 金額 |
死亡 | 290万円 |
脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの
上腕又は前腕の骨折で合併症を有するもの 大腿又は下腿の骨折 内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの 14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの |
40万円 |
脊柱の骨折
上腕又は前腕の骨折 内臓の破裂 病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの 14日以上病院に入院することを要する傷害 |
20万円 |
11日以上医師の治療を要する傷害 | 5万円 |
※自動車損害賠償保障法施行令第5条による
仮渡金請求の必要書類
仮渡金はその性質上、損害額が確定する前の一時的な支払いであることから、必要な書類が簡略化されています。
・仮渡金支払い請求書
・交通事故証明書
・事故発生状況報告書
・医師の診断書
・印鑑登録証明書
仮渡金は短期間で受けられるので便利ですが、保険会社が本来支払うべき損害賠償額を超えて支払われた場合は、返還請求もあるので注意が必要です。
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