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被害者本人の慰謝料と遺族の慰謝料

死亡事故が起きると、被害者本人の慰謝料と遺族の慰謝料という2つの慰謝料が発生します。被害者本人への慰謝料でも遺族が受け取るので混同されやすいですが、被害者本人と遺族の慰謝料は明確に異なるので注意しましょう。

慰謝料というのは、あくまでも精神的苦痛を受けた当事者の請求によって支払われるもので、もし被害者が存命なら、被害者本人が受け取ると考えればわかりやすいはずです。一方で、遺族の慰謝料は、被害者が存命でも亡くなっていても、遺族当人が受け取るべき慰謝料なので全く対象が違います。

■被害者本人に対する慰謝料

被害者本人に対する慰謝料は、本人が持つ慰謝料請求権がそのまま相続され、相続人である遺族によって請求が可能です。相続人には優先順位があり、配偶者は必ず相続人で、配偶者以外は次のようになります。

1.直系卑属(子や孫)

2.直系尊属(親や祖父母)

3.兄弟姉妹、甥姪

配偶者を除くと、最も優先順位が高い人だけが相続人になることができます。例えば、被害者に子がいれば、配偶者+子(子が死亡していれば孫)が相続人で、被害者に子がなければ、配偶者+父母(父母が死亡していれば祖父母)が相続人です。子や孫、父母や祖父母のいずれもいなければ、配偶者+兄妹姉妹(兄弟姉妹が死亡していれば甥姪)が相続人になります。

■遺族に対する慰謝料

被害者の遺族は、自分自身の精神的苦痛の賠償として、自ら慰謝料を請求することが可能です。遺族が相続人なら、被害者本人の慰謝料も相続することができ、自らの慰謝料は相続人に限らず請求が認められています。

ここで、遺族の範囲が問題になりますが、1つの基準として民法第711条があり、被害者の父母、配偶者、子は近親者として慰謝料を請求できます。父母、配偶者、子以外の遺族に対しては、判例でも事情によっては認められるとされています。

近親者以外が慰謝料を認められる固有のケースはありませんが、被害者との距離感や親密度が重要視されます。例えば、孫を交通事故で失った祖父母が、加害者に慰謝料請求できるか考えてみましょう。

祖父母と孫の接し方において、ある祖父母は子の帰省で年に数回会うのを楽しみにしており、ある祖父母は親である子に代わって孫を監護し、親よりも日常生活を共にして可愛がっているとします。説明の必要もありませんが、後者の祖父母ではより深い悲しみを伴うのは想像にたやすく、慰謝料を請求する根拠を持っていると考えられます。

■事実婚でも慰謝料請求は可能

夫婦同然に生活していながら、婚姻届を出さずにいる状態を事実婚(または内縁関係)と呼び、婚姻届を出している夫婦を法律婚と呼んで両者は区別されています。少しずつですが、時代と共に事実婚は法律婚と同等に扱われるように変わってきており、法律婚の配偶者に準ずる位置として、事実婚の配偶者に権利を認めている法律も多くあります。

しかし、相続権においては事実婚の配偶者は認められておらず、死亡事故の被害者本人に対する慰謝料請求権は相続される性質から、事実婚の配偶者では請求が認められません。それであっても、事実婚の配偶者が受けた精神的苦痛に対する慰謝料は請求でき、法律婚の配偶者同様に、事実婚の配偶者も近親者として考えられています。

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