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逸失利益と基礎収入

人身事故では、被害者が死傷しなかったと仮定して、得られたはずの利益(逸失利益)が賠償額に算入されます。逸失利益の計算は、前提となる被害者の基礎収入を算出する事から始まり、基礎収入が高いほど逸失利益も大きくなります。

そうはいっても、基礎収入は個人によって違いますし、年齢によっては就労前ということもあるでしょう。そのため、一律に計算できるものではなく、被害者の年齢や状況によって異なる算出方法があります。

■給与所得者の場合

基本的に、事故時の収入を基礎収入とする考えで、基本給としての給与だけではなく、諸手当やボーナス、退職金(死亡退職金と生存退職金の差額)も認められます。

給与所得者では、毎年勤務先から源泉徴収票が発行されるので、収入証明に困ることはないでしょう。本人の管理で源泉徴収票が失われている場合には、勤務先に再発行を申請できますし、役所で課税証明書を申請することでも、収入を証明する書類になります。

■個人事業者の場合

個人事業者は毎年確定申告をするため、確定申告書が収入証明になります。したがって、事故時の収入を基礎収入にするのは給与所得者と同じですが、個人事業の場合には、事業収入が個人事業者だけから生まれているとは限りません。

例えば、配偶者が家業を手伝い給料を支払われずに、事業収入が夫婦の収入であるケースは多く、確定申告書の収入は被害者だけの収入にはなりません。こうした場合は、被害者が事業に対して寄与している相当分を基礎収入にします。

■失業者の場合

失業者であっても、働く意思と能力を持って単に失業中であれば、逸失利益は発生します。失業間もない場合は、退職時の年収で給与所得者と同様に判断され、就職が決まっていた場合は、就職先での推定収入から算出されることもあります。退職時や就職先の収入を証明できなければ、賃金センサスによる平均給与額が算出基準になります。

■未成年者・学生・家事従事者の場合

いずれも有職者ではないため、算出基準は賃金センサスになり、基本的には全年齢平均給与額か用いられます。家事従事者でパート収入が全年齢平均給与額を上回れば、当然にパート収入で算出されます。

■賃金センサスについて

厚生労働省が全国規模で行っている、賃金の統計調査のことで、毎年実施されています。男女の各年齢別平均給与額、男女の全年齢平均給与額が公表されており、死亡事故や後遺障害における逸失利益を算出する際に使われます。

日本の男女の平均給与額は、年齢別でも全年齢でも男性の方が高くなっています。全年齢平均給与額は、若年層や老年層よりも高く、壮年層よりも低くなります。概ね男性は35歳前後の平均給与額が、女性は30歳前後の平均給与額が全年齢平均給与額に近い水準です。

賃金センサスを利用して基礎収入を算出するときは、基本的に年齢別平均給与額と全年齢平均給与額を比べて高い方の平均給与額が使われますが、被害者の年齢によっても異なります。

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