交通事故の発生状況データ
警察庁は、毎年交通事故の発生状況について公表をしており、ここでは平成26年の状況について説明しています。
・交通事故の発生件数:573,842件(前年比-55,179件)
前年よりも5万件以上減っているのに、57万件以上の事故が発生しています。1年は365日=8760時間=525,600分なので、1分に1回以上事故が起きている計算です。事故届が出されておらず、警察が把握していない軽微な事故を含めると、まだまだ多いでしょう。
・死亡事故の発生件数:4,013件(前年比-265件)
交通事故の143件に1件は死亡事故です。時間的には130分に1回の割合で起きているとも言えるので、1日に約11件起きている計算です。
・死亡事故での死者数:4,113人(前年比-260人)
警察庁で言うところの死者数とは、事故から24時間以内に亡くなった人の数で、1日に平均11.27人、2時間8分に1人亡くなっています。平成8年に1万人を切ってから、年々減っている(平成12年だけ僅かに増加)状況です。
・交通事故の負傷者数:711,374人(前年比-70,120人)
多いと見るか少ないと見るか判断は分かれますが、交通安全基本計画(第9次)の目標値が平成27年で70万人以下なので、前年比通りの減少なら、平成26年の実績は計画内とも言えます。
■死亡事故は減少している
平成17年から平成26年の10年では、6,927人から4,113人と2,800人以上減っていますが、近年は減少幅が小さくなっていて緩やかになっています。また、死傷者数に対する死者数の致死率は、平成25年、平成26年と2年連続増加しました。
死者数 | 致死率 | |
平成17年 | 6,927人 | 0.60 |
平成18年 | 6,403人 | 0.58 |
平成19年 | 5,782人 | 0.56 |
平成20年 | 5,197人 | 0.55 |
平成21年 | 4,968人 | 0.54 |
平成22年 | 4,922人 | 0.55 |
平成23年 | 4,663人 | 0.54 |
平成24年 | 4,411人 | 0.53 |
平成25年 | 4,373人 | 0.56 |
平成26年 | 4,113人 | 0.57 |
死者数の減少幅が小さくなった理由として、警察庁は次のように分析しています。
1.高齢者が増えたことによる影響
事故による致死率が、他の年齢層よりも6倍高い高齢者は、その人口が増えると全体の致死率が上がり、死者数が減らなくなってきます。平成24年以降は、高齢者と高齢者以外の死者数が逆転し、高齢者の死者数の方が高齢者以外を上回っています。
2.シートベルトやエアバッグなどの影響
エアバッグは平成17年の時点で約100%搭載、ABS搭載車は平成24年には約98%と、標準とも言える状況になり、シートベルトの装着率が約94%で横ばいであることから、車両側の装備で死者数が減る時代は終わったようです。
3.飲酒運転事故の減少率低下
危険で死者が出やすい飲酒運転は、法整備の効果もあって年々減少していますが、徐々に減少しにくくなっており、下げ止まった感があります。その影響で、死者数も減らなくなってきていると考えられます。
■交通事故による死者の特徴
1.高齢者の比率が過去最高
死者数全体の中で、65歳以上の高齢者が占める割合は53.3%と非常に高く、70歳以上で43.8%、75歳以上で33.9%と、高齢化社会を色濃く表しています。
2.歩行中の死者が最も多い
平成20年までは、自動車乗車中の死者数が多かったのに対して、平成20年から歩行中の死者数が最多になっています。確かにニュース等でも高齢の歩行者の死亡事故は良く耳にするので、対応が急がれる状況は間違いありません。
3.夜間の歩行中死者は昼間の2倍以上
乗車中の死者は昼間の方が多いのに対し、歩行中の死者は夜間の方が多いとデータに現れました。そして、昼間の59.4%、夜間の47.2%が高齢者の死者です。生活上、夜間に高齢者が出歩くことは少ないので、それだけでもいかに高齢者の死者が多いのか良くわかります。
■交通事故と運転状況
交通事故の原因となる運転状況として、真っ先に考えられるのはスピード違反でしょうか。スピードが上がるほど、危険な状態になって事故を起こしやすくなるのは当然です。しかし、交通事故で最も多い運転の状況は、漫然運転と呼ばれる不注意によるものです。
漫然運転とは、例えば考えごとをしていて、前を向いているのに注意力を失っている、ぼんやりと惰性のように運転している状態で、誰でも経験があるのかもしれません。前を向いているのに事故を起こすのですから、極めて危険な状態でしょう。
次に多いのがわき見運転、その次が運転操作不適(操作誤り)です。意外に思われるかもしれませんが、スピード違反で事故に繋がるケースは全体の中では多くはないのです。ただし、どのような運転状況で事故を起こすのかは、年齢層によっても異なります。
若年層では、漫然運転とスピード違反の割合が高くなり、高齢者では運転操作不適の割合が最も高くなります。若者がスピードを出しすぎるのは、今も昔も変わりません。逆に高齢者がスピード違反で事故を起こすのは、かなり少ない割合です。
それでも、事故の多くを占める高齢者の事故原因が、操作誤りであることは見逃せないでしょう。運転技術的な要因での事故だけに、免許制度も含めて検討の余地を残します。
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