警察へ届け出ずに示談した場合
軽微な物損事故では、お互いが警察に届け出るまでもないと考え、その場で示談して終わらせることも少なくありません。お互いに過失がある場合では、お互いが自分の車を修理することで示談したり、すり傷程度なら修理費としてお金を渡したりして解決する場合などです。
しかし、道路交通法上は、事故があったら警察に報告する義務を負い、違反すると罰則もありますので、本来は事故届を届け出なくてはなりません。それでも、何らかの理由により警察へ報告しない、もしくは報告しないでくれと頼まれることもあります。
■警察へ報告しない理由
事故の当事者にはそれぞれ事情があり、警察に報告しない理由は様々です。代表的な例は以下のようになりますが、記載以外の理由も十分に考えられます。
・事故の損害が極めて小さい
・急いでいて対応できない
・単純に事故対応が面倒
・保険を使いたくない
・勤務先に発覚するのを恐れている
・免許の関係で報告したくない
・警察に連絡されると都合が悪いことがある
・警察自体に良い感情が無い
この理由の中で、保険を使いたくないという理由であれば、警察へ事故届を出しても、保険会社に連絡されることはなく、保険を使うかどうかは加入者の自由です。また、勤務先への発覚ですが、刑事罰に該当しない事故で、雇用に影響するのはまれでしょう。
他には、免許の関係があり、違反点数による免許停止等の処分を心配するケースです。建造物損壊以外の物損事故では点数は付かないのですが、一時停止違反や信号無視等の交通違反が含まれると、当然点数が付きます。もう1つ、ゴールド免許との関係があり、保険料の増額、免許更新後の更新期間短縮、免許更新時の講習時間の延長など、ゴールド免許を失うことでの不利益を嫌う場合があります。
なお、警察に連絡されると都合が悪いとは、盗難車両など犯罪に関係している場合ですが、正直に明かすとは思えませんので、違う理由を言ってくるでしょう。
■警察へ報告しないのは問題が大きい
大前提として、警察へ報告せずに当事者同士で示談をして終わらせると、事故の記録が無く、事故の証拠も大部分が失われるているため、後から何かあっても対処が難しくなります。それ以前にも、法律で決められた義務を果たしていないのですが、それよりも当事者間のトラブルの方が厄介です。
典型的な例は、事故当時は物損という認識でも、後から被害者が身体の不調を訴える場合で、本当に事故が原因であれば、加害者は治療費等を負担しなくてはなりません。しかし、事故届が出されていないので、交通事故証明書が発行できず、保険会社は原則的に事故の証明が無いと保険金を支払ってくれないのです。
特に自分が被害者の場合には、後のことも考えて、必ず警察に報告するべきで、加害者から事故扱いにしたくないと言われても、譲らずに警察へ報告しましょう。
最も特典が魅力的な代理店で契約することをオススメします↓
最も特典が魅力的な代理店で契約することをオススメします↓
関連記事
-
-
物損事故と人身事故の違い
物損事故(警察では物件事故)は物に対して、人身事故は人に対してという簡単な違いは …
-
-
後遺障害等級認定までの流れ
後遺障害等級の認定には、事前認定と被害者請求の2つありますが、どちらの方法でも大 …
-
-
死亡事故では葬儀費が認められる
死亡事故特有の損害賠償として、被害者の葬儀費が損害賠償に含められる点があります。 …
-
-
傷害事故の慰謝料
慰謝料は精神的苦痛に対する賠償という性質ですが、どのくらいの傷害ならどのくらいの …
-
-
死亡までの損害賠償
事故当時は存命でも、事故後での傷害が致命傷となって、亡くなってしまう例は少なくあ …
-
-
交通事故と3つの法的責任
交通事故を起こすと、次の3つの法的責任を問われ、それぞれは処分もしくは賠償するこ …
-
-
逸失利益と就労可能年数
人身事故での逸失利益を計算するには、被害者が死傷していなかったして、どのくらいの …
-
-
傷害事故の消極損害
傷害事故による消極損害は、傷害によって労働機会や労働能力が失われ、収入を得られな …
-
-
財産的損害と精神的損害
死傷が発生している人身事故においては、様々な損害賠償が発生し、加害者は過失割合に …
-
-
休業損害の考え方
人身事故での傷害の程度が重く、入院などで働けなくなった期間は、休業損害として損害 …
- PREV
- 車対車の過失相殺
- NEXT
- 交通事故と3つの法的責任